コミュニティネットワーク協会

多摩プロジェクトpart2

第10回 多摩ニュータウンで暮らし続けるしくみをつくる会【愛宕】レポート

 2023年1月21日土曜日、愛宕かえで館にて開催された『第10回多摩ニュータウンで暮らし続けるしくみをつくる会(愛宕)』のご報告になります。新年最初の顔合わせとなりました。

 昨年末にかけて3回に分けて行われました社会実験のことや新メンバーの紹介、学生さんの新たな活動参加など様々な内容となりました。一方で、今後のことへの不安や要望も頂きました。盛りだくさんのご報告になります。

1.会の概要

開催日時:2023年1月21日土曜日 10:00~12:00

開催場所:愛宕かえで館

参加人数:26名

議事内容:①メンバー紹介 

②第3回社会実験の榊監督制作の映像鑑賞 

③社会実験の振り返り(各担当者、参加者からの報告)

④これからの取り組みについて情報提供

2.メンバー紹介

 一般社団法人コミュニティネットワーク協会理事長渥美の司会進行にて会は始まり、参加者の紹介をさせて頂きました。この際に、今回より参加することとなった中央大学の大学生、多摩市若者会議の高野代表、コミュニティネットワーク協会の新メンバー2名を紹介させて頂きました。

●近山さん

 コミュニティネットワーク協会理事長を実践、那須町での廃校活用、73歳。親の介護の在り方に疑問を持ち、高齢者の当事者に立った仕組み作りをしていた。那須で廃校活用した誰でも暮らせる場づくりが落ち着いたことから、1月4日から松が谷に住み込み団地再生に参加することとなる。

●岡田さん

 高齢者住宅情報相談センターの相談員。保育士としての仕事をしてきた。子育てが「孤育て」「孤独」にならないよう、多摩で多世代の共生型コミュニティづくり関わりたい。

3.社会実験の振り返り(第1部として)

 渥美より社会実験に至った経緯や集客状況の報告(1回:105人 2回:50人 3回:180人)があり、3回目については松本自治会長に協力を得て周辺の小中学校・児童館・学童クラブへ参加のチラシを配布できたことで多くを集めることができたとの話もありました。その内容を受けて全員で多摩市在住の映画監督である榊監督の撮影された動画を6分間鑑賞しました。

 この後にそれぞれの視点から社会実験を実施してみての感想や意見、課題について発言がありました。

①第1回社会実験居酒屋、カフェチームメンバーの振り返り

●倉岩さん

 覚悟はなかったが、来た時には話が進んでおり、参加させてもらった。地域の人からの話を聞いて毎日開店していてもあまり人が集まらないのではないかと感じた。ただ、開催を限定してしまうと来られない人も出てくるので難しいとも感じた。また、地域の人からは12月の際には入口から入りづらいということも話があった。自分としては準備作業の負担などもあり継続やっていく自信はあまりない。

 ほかにもすでにオープンしたと勘違いしている人もいたので来春からだとは伝えた。喫茶店のようなものは欲しいといった意見もあった。

 若者との交流もあり自分自身は楽しく参加出来た。

●門司さん

 3回ともほとんど同じ方が参加していた印象で、もっとたくさんの人に来てもらいたいと感じた。提供したものをあんなに喜んでもらえて驚いた。外出する人が少ない町なので人が集まることができて、それを継続できたと思う。

●松本自治会長

 初めての経験であり、事業がきちんと運ぶか心配している。高齢者ばかりだから、わざわざ駅前などへ飲みにいく人は少ない。

 せっかく新しい動きがあるのだから自治会長として声かけはするし、愛宕第2を広める使命感をもっている。飲み屋のママさんができる方もいるけど、毎日は難しいと言っている。毎年10人以上、亡くなっていることもあり愛宕第2が溜まり場になったら有難い。

 オープンすることが決まっており、盛り上げていきたい。

②第2回ケア・相談チームメンバーの振り返り

●川崎さん

 ケア中心であったが、要素を盛り込みすぎて分散してしまったことが反省点となっている。ただ、見守り機器などについては見てもらうこともできて良い機会となった。

●嘉門さん

 見守り機器を普段は多摩センターのイトーヨーカ堂で展示している。今回は10種類程度、ロボットタイプ、センサータイプなどを持ち込んだ。東京ガスも参加してもらった。参加の方からはカメラでしっかり見られるものをと突っ込んだ内容の方もいれば、当事者に近い方は使い方への不安など聞かれた。見てもらったことは今後につながる。

●浅沼さん

 当日は途中までの参加となった。介護予防リーダーで当日体操を行っていただいた方に話を聞いたが、当日の入口の入りづらさ、どこで何をしているのかのわかりにくさなどあったと話があった。また、実際の体操も雰囲気が作れなくて大変だったと話があった。今後のこうした企画の際には、場づくりからきちんとやる必要があると感じた。

●上野さん

 食によるつながりの大切さ、若者の交流、特に大学生との交流により元気をもらえたので、こうしたつながる機会の必要性、地域の声として買物の困りごと、米や調味料など重たいものだけでも決まった曜日に来てもらえると助かるといったこと、来られない方が多いので、地域包括などと連携して訪問して赴くことの大切さなどを感じた。

●鈴木さん

 1回目、2回目も参加した。2回目では子供を集めることがうまくできなかったので、児童館等への声掛けを提案したが、松本会長のご尽力もあって、3回目は集めることができた。児童館や学校の輪を広げたことで解決を図った。今後も難しいことは連携して輪を広げて解決することが大切だと感じる。一方で続けることの難しさは残っている。誰が主体となるか、金銭面を含めて行っていくのかをしっかりと考えていく必要がある。

 

③第3回子ども、コミュニティビジネス(次世代育成)チームメンバーの振り返り

●野田さん

 多世代交流、コミュニティビジネスチャレンジの場として企画したが、1回目、2回目の様子で多世代交流の不安があった。松本会長のご尽力もあり、多くの子供を集めることができた。多摩だけでなく川崎など近隣から子育て世代の参加もあった。子供が年長さんになって少し自分の好きなことで仕事ができたらと考えている方たちだった。子供を横に置きながら仕事のできる環境で安心して働ける環境が必要だと感じた。課題としては対象者ごとで別々になってしまい、子供と高齢者の交わりを意図的に作る工夫が必要と感じた。

●明石さん、渡辺さん(中大ボランティアセンター学生スタッフ)

 大学生とカードゲームレクをする企画だったが、小さな子が多くて年齢差があり、なかなか難しかった。少しずつ雰囲気に馴染んで遊べるようになると、崩し将棋が人気だった。それを見て地域の人が懐かしいと話をされ声をかけあうなど、交流のヒントを感じた。

 課題としてはスケルトンの冷たさを感じたのと入口の分かりづらさ、人目を引かないことを感じている。3月にイベントを企画しており、看板つくりや目を引くための装飾などを準備したい。

 この流れから渥美理事長より学生メンバーの企画提案へとつなぎ、明石さん、渡辺さんから企画の意図や今回の取り組みへの意気込みなどをご説明頂きました。明石さんからはどういった学生の組織であるか、多摩地域にある大学として地域を知ってもらいたい、社会の状況を感じてもらいたい思い、渡辺さんからは学生だけでなく、地域の皆さんと協力して作り上げること考えており、学生には何かを成し遂げるということの大切さを感じてもらいたい。10名程度の仲間を集めていくとの説明がありました。詳細は添付している企画書をご覧ください。

④各団体代表者からの声

●松本自治会長

 企画を考えており、コロナで自治会でもイベントができてないので今年は祭りをやりたい。愛宕第4ブロックではイベントでは商品を出している。店があった頃は買い物券を発行していた。交流拠点ができたら、拠点や近くの商店で使える金券のようなものを発行したいと考えており、側面から協力できると考えている(美容院や床屋も対象)

●JKK 戸松部長

 今回の取り組みを通じて3点ほど感じたことがある。

 1点目は飲食ができる場の大切さである。食があることで久しぶりに会ったり、気軽に話せる、輪が広がる、ついつい長居してしまうというようなことが見られて飲食の場の大切さを感じた。

 2点目が賑わい作りの大切さ。自身も団地で育ち、団地の仕事に携わっている。団地はいろいろな世代がいて、無理に交流しなくても自然と賑わいがあるのがかつての姿だった。それを再生するのは難しいが、外からの今回の中央大学の皆さんのようにつながることで雰囲気を作れるのではないかと考えている。3月のイベントも楽しみで、協力して作り上げていきたい。

 最後が広報の大切さである。まだ、知らない人がいると感じている。3回目の社会実験では学校等への声掛けでこれまでに見ない顔に会うことができた。いかに周知するかという広報の大切さを感じた。関心の向かない人へのアプローチもあるが、まずはしっかりと広報することを皆さんと考えていきたい。

●多摩市 田島部長

 市民自治を担当しています。先ほどの学生さんの多摩市の関連部署は私たちですから是非聞きに来てください。私も30年前の中大OBですので声かけてください。

 愛宕については市も最初から参加させて頂いています。高齢化率が高い地域では、担い手の育成が課題になっており、多摩市ではモデル地域を選定して行政含めた協働でのまちづくりを進めている。

 特につながり作りが重要と考えており、縦と横のつながりを意識している。縦は世代間のつながり、多世代交流であり、横のつながりは地域の方同士である。多摩市若者会議に参加する若者など中間的にそうしたつながりを支援する組織に行政も伴走しながら進めることを考えている。ただ、地域の中だけではなく、地域以外の大学や様々な社会資源と一緒にやっていくことも目指しており、これからコミュニティの再生を本格的に協働していきたい。

4・今後の進め方

①図面の確認

 図面を用いて今回の場所のイメージを共有しました。

 なお、相談窓口、地域交流スペースの確保がJKKからの条件になっています。また、デイサービスについても従来のデイサービスと異なるものを考えている。多摩ニュータウンの発信コーナーも考えている。

(野田)『手づくりの雰囲気、リビングや自宅で過ごせるような感じに仕上げたい』

(近山)『初めて参加したが、生の声を聴いて冷静で 現実的だなと感じた。やりがいを感じている。高島平の団地再生に関わり、その時は高齢化率40%でそれより高い60%の最先端のまち、ここでできれば日本のどの地域でもできると考えており、強い気持ちになった。自治会長のおっしゃるようにここに来たら、誰かいるということは大切。私の企画で建てた『ゆいまーる那須』も自分が希望しなければ会わない、会いたいときに会うことが選べる。わがままだけど気配を感じられて、必要な時にいてくれる関係が大切だと思う。リビングが増えた感じを提供したい。来ない・来られない人については出向くことなど、人を介したサービスを提供したり、ないならないで遊びのようなツールをつくるなどで工夫したい。

 この町にこれだけの多様な人が集まっていて、人助けができるといった思いで皆さん集まっていると思うし、いかに生ききるかを考えていると思う。紙による通信の発行や50~100程度を対象にした移動手段、金券を拡大した地域通貨のようなものを検討するとともに、ちょっとしたアイデアと、負担のない仕組み作りで、課題整理をして実践可能なグループ化を図れると考えている。図面を見て、大きく方向性を変えるというわけではないが、そのようなしくみ、しかけができる場としてどのような場にするか検討していきたい』

 場所の使い方として若者世代にも連携して活用してもらいたい。その視点で多摩市若者会議代表高野さんや市で担当する西村さんから話を伺う。

●多摩市若者会議 高野代表

 若者会議は多摩市で実施しており、ワークショップやフィールドワークを通じて多摩で自分がやってみたいこと、解決アイデアを実行してもらうことを進めている。提案内容(地域通貨、送迎、広報紙等)は若者会議でも挙がっており、この愛宕第2を実験・実践の場として他にも展開したいため、ぜひ参加させてもらいたい。ただ、中大の皆さんの活動もあるのでうまくすみ分けながら進めたい。

●多摩市役所 西村さん

 「協創」をテーマとしている。この場所を作るのであれば、盛り上げながらみんなで作っていくことを考えており、高校生や大学生などに積極的に働きかけ、若者自身のやりたいことをかなえられるフィールドにしたいと思っている。このため、やりたい気持ちを実現できる場所にしたいということで積極的に発信している。

 これまでに一橋大学と『未来洞察』という例えば ドローンやIT技術が発展したらどうなるか。どんな社会になるのかというものをこれまでの常識からではない視点で考えてもらい、映像化する取組みをしてきた。そのアイデアのひとつに未来は駅の近くが便利なのではなく、家の近くが便利になるという発想で、リモートだからどこに住んでも変わらない。リアルで何を手に入れるのか、自然環境が豊かなところで、人と交流できる。家の近くで交流しながら働ける場所で起業する。都心でなくてもビジネスを起こせる。周りの人に育ててもらいながら食べていけるような社会が魅力的になるというイメージを持っている。その実験場所として愛宕を活用できないかと提案している。そうした一環に『ボードゲームカフェ』として使ってみたいといっている。オープンしたら若者世代が魅力に感じる拠点の使い方をあれこれ試していきたい

●2月18日、3月18日のつくる会の進め方について(近山さん)

 若い人は子供を産むために田舎に確実に流れている。これまでのように学校に上がるときの移住だけでなく、特に生む前の移住が増えてきている。奇跡の小学校と呼ばれている学校が宇都宮にある。義務教育に 踊り、アート、音楽、スペシャルな項目を入れることで生徒が増えたという内容でドキュメンタリーにもなった。人は仲良く文化的な生活を送りたいと考えている。その中で、宇都宮の学校は文化を掘り下げた。行政の担当者が優しいところも成功している。

 夕張は破綻により医者がいなくなり、住民が医療が身近に必要と医者を呼びよせた。若い有志が開院したが、それでも地域の人は札幌の大病院に行くままであった。つまり、住民が必要と言ったものが必ずしも利用されるわけではないこともある。いいことをやってもふわっとしたものでは失敗する。

 団地は働きに行くための場所から、創造して暮らす場所へと変化しいている。若者や高齢者のいまの時代の暮らしに合わせたものが重要。いまは都内の方が不便で、よっぽど田舎のほうが安全で暮らしやすい。コンセプトを変えるのではなく、しっかりと分析して必要でかつ利用するものを確かめることを進める必要がある。

 無いものが欲しいとはなるが、それをもう1回整理したい。このために、本音で語り合い、どうやって生ききるかをこの2ヶ月で仕上げるような進め方をしたい。

 

5.アンケート等の意見

①参加理由

●社会実験の結果を知りたかった。

●3つの社会実験から愛宕の場づくりのイメージ、課題を明確にして参加者で共有していきたい。

●団地再生の現場を見てみたかった。

●毎回参加

②ご感想、ご質問、ご意見

●コンテンツ(居酒屋、キッズの最終決定早急に)→担当者とそのグループを組成する。

●多世代とは何か

●オープン後の管理主体を早急に決める。

●組織図、連絡網、概要を早急に作る。

●中央大学の学生さんのボランティア継続の希望をお聞きしてとても頼もしいと思いました。

●中央大学の学生さんや若者会議の参加など広がりがみられて良かった。

●近山さんのお話にあった今後の企画に対し、愛宕住民が本当は何を欲しいのか利用するのか本音を出し合うため、本日の参加者が意見があれば差し上げるような工夫ができればよいと思います。

●会議のスケジュールをあらかじめ明示する。中大のVCのプレゼン、若者会議は不要、時間を効率的に、紙でよい。

●早急にスケジュールを作成する。すでに4ケ月も経過している。全体スケジュールができていない。

●最後まで、そして継続して何かしら関わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

以上

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